レッジョ・エミリア視察③

■5/20(3日目)

レッジョ・チルドレンの拠点、
ローリスマラグッチセンターの見学です。





ここは、レッジョ・エミリア市のこどもたちがどのような幼児教育を受けているか、
その様子がアーカイブされた資料、プロジェクトの説明、歴史、光のアトリエ、研修室など、複合的な要素を持つ施設です。





レッジョアプローチの特徴は、
子供を中心にすえて、子供を他者が知識を与える存在としてではなくて、
行動し思考する主体としてとらえる。アートの経験により、こどもたちの可能性を引き出す。
ペタゴジスタ(教育者)とアトリエスタ(芸術家)が連動しながらカリキュラムを動かしているところです。

展示について、説明して下さったベテラン、アトリエスタのマリーナさん。
ひとつひとつのプロジェクトや作品を紹介しながら、解説頂きました。



(内部は撮影禁止。展示品はご紹介できません。テキストの意味がわかりにくいところがあるかもしれません。ご了承ください。画像はイメージです。)


レッジョ・チルドレンの幼児教育の核はアトリエ。
そこで行われる、プロジェクトは、アトリエスタ、またはアーティスト、専門家によって、
さまざまな工夫が凝らされ、準備、実践されているそうです。

全てのことは、常に、変わり変身していく。同じことはやらないということ。
コンセプトをこどもたちにどう伝えられるか?

ひとつひとつのプロジェクトは、誰もが身近に感じられるもので、わかりやすくシンプル。
そこには、深いメッセージが込められ、まさに目からウロコ。とても感動しました。

例えば、布と糸を使って、エコロジーを考えるプログラム。
自然素材を使い、人生の変化やプロセスを表現したプログラム。生死を考えるものということです。
変化していくことが美しい。プロセスを経験し、気づく。
しかし、人は大人につれて、変化を恐れる。




いろんな表現方法を使ってみる。(デジタルも含め)つなげてみる。
何を感じた?何を学んだ?気づいた?体得できた?
なんだろう?と問いかける力を大事にしたい。





答えはない。答えを自分で探るプロセスが大切。
達成感や○○○なんだ!と納得したり、それをきちんと腑に落とす、
意識できるところまでもっていけるように促したい。

プロセスのパーツとコネクション。美的感覚、センスを養う。
さまざまな体験から、さまざまな表現を刺激、引き出す。

何が美しいか?どこに美しさがあるか?人は、‘美’をとらえる権限をもっている。
‘美’を見分けられるようになる。そういう心、感性を育てたい。

さすがイタリア!です。
‘美’に対する想いが、このように現されています。


こどもたちへ贈られるメッセージは、その土地、その環境により様々、表現の仕方、
内容、捉え方がとても違います。
おもしろいところです。





なぜARTを用いるのか?
ARTは、リサーチ、イノベーション、共感。
たくさんの表現、言語を探るという意味。何を生み出すのか?そのプロセスに重きを置く。

なぜレッジョ・チルドレンでは、光をたくさん扱うプログラムがあるのか?
光に秘められた可能性。


時折、マリーナさんの解説を聞きながら、
心と身体の深いところが熱くなるような、そんな感覚を覚える瞬間がありました。





アトリエ、アトリエスタが不可欠である。
社会情勢が不況の中でも、人材が確保されるように、
それが貴重な文化創造である。ということを常に発信し続けているそうです。

また、この施設内にある光のアトリエは、こどもたちが遊びにくることのできる児童館のようなところ。
身体を使い、光に触れ、戯れ、不思議の世界を体験できるプログラムが準備された空間です。
さまざまに工夫が凝らされた内容になっていました。
大人も十分に楽しめるところです。




こどもは勝手に学ぶ。オーガナイズはするが、介入は最小限。
大人がどう寄り添うかがポイントで、美しいと思える瞬間、環境をどのようにつくり出しているか。

物質的な豊かさに溢れる現代、しかし、人々の暮らしには、なぜかゆとりがない。
時間や心の余裕がない。こどもたちの想像、創造性、言葉を待つゆとりもない。
皮肉な現状です。

日々活動の中で、こどもたちの創造活動の場、空気に、豊かさを感じるのは、失われたゆとりが保たれる貴重な瞬間だからということに改めて気づかされます。


ここイタリアは、スローフード、スローライフ!を提唱する地。
レッジョアプローチにも、この要素は、感じられます。


アトリエスタは、フレキシブル、柔軟な心と身体、聞く力。
いろんなことを受け入れられるようになる力が身に付くそうです。

アトリエスタから発せられる言葉の数々から、
そこには、レッジョ・チルドレンの確固とした哲学がかよっている。
シンプルで、不変なところ。
よくよく、人材がトレーニングされているとも感じました。






レッジョのネットワークは、世界各国へ広がっています。
このセンターにも、日々、たくさんの人々がここで、研修を受けておられました。
南米、アラブ、アフリカ、アジア社会へ。移民の影響でしょうか?
その展開も面白いところです。
人種や宗教、国を越え、新しいネットワークができています。

世界は何か「モデル」を求めている!

アートの可能性が、「こども」をキーワードとすることで広がる、すばらしい取組だと思います。




こどものアート活動を通して、
大人の感覚が拓かれていく、忘れた記憶、感覚が刺激され、こどもとともに育てられていく。
鍛えられていく。無限の可能性が広がっていく。


私たちの想いの振り返り、再認識。
新たな気づきやインスピレーションを得る機会となりました。

レッジョはすばらしい参考事例。
自らの足元を見直すきっかけにもなります。さらなる探求は続きます。



(byかとうゆみ)




This entry was posted on 2014-07-14 and is filed under . You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. You can leave a response.

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