②まったなしのチームワーク


オランダのユニークさを紹介する
本、雑誌、発信媒体などは、
様々なフィールドにおいてたくさん出ています。

もっともっと探究したくなる
知れば知るほど面白い、
オランダの魅力の一つは、「あなた次第」
そんな問いかけが投げかけられているように感じます。


アムステルダムの中心街
アート・サイエンス・テクノロジーをキーワードとする
waag society https://waag.org/nl という施設で、
現在⇔過去⇔未来を体感できる
ユニークなワークショップに出会いました。




 
『未来の肉食を考える』

温暖化や異常気象が起き、穀物生産が下落したら牛肉ごときではない事態が
起こると予測されています。食糧問題の1つです。
この課題を背景に、多様なフィールドで研究・実験・生産する人々が集い、
対話するワークショップが開催されました。

会場に入るなり、仰天!
一体何がはじまるのか?
さあ、グループに分かれてください。とのこと。
なんだか怖くて、控え目な部位の準備してある
グループに入れてもらいました。




 

1、現在、棄てられている肉食の部位を調理して食べてみる。
食材、調理器具などが準備されています。
リーダーが、手取り足取り、丁寧に指示を出してくれます。
さあ、どうぞこんな風にやってみてください。

内臓を細かくミンチにしたり、きれいにカットしたり。
臭みを消す香辛料や食材と一緒に、煮たり焼いたりします。

これは、オランダの伝統的な、ブラッドソーセージ。
血液を材料として加えたソーセージ。
見てるだけでも、わぁ~。きゃぁ~。




 





別の班でも、脳、腸、内臓、皮膚…いろんな部位が登場しています。
みなさんは、抵抗もなくすいすい、ナイフを使いこなし、あーすごい。

かわいらしいオランダ女性も、皮革をつかった作品をつくっているので
こんなのはなんでもないわ。まぁ、驚きです。

日本でも、昔、鶏をさばくのは女性の仕事という小さな村に出会ったことがありました。
今は、命をいただく現場からずいぶん遠のいているなぁとつくづく感じました。






2、次は、肉食の替わりとして養殖されているラットが登場。
いきよいよく飛びまわっています。
ねずみ~!?ひゃあー。

その瞬間、ビニール袋であっという間。
その場できれいに解体されました。しかし新鮮そうで、本当にきれい。
 



3、そして、人口ミートをつくってみよう。
顕微鏡を見ながら、プレパラート、シャーレ、スポイトなど
実験道具が手渡され、指示されたように液体を混合していきます。
誰でもできます。これが、数週間後には人口ミートになるそうです!


4、デザート
どこからか、休憩にとホワイトとブラックのチョコが配られてきました。
ねずみ入り!わぁ~



5、さあ、食事の時間
テーブルセッティングがお見事なのです!



昆虫を食する研究者の発表、
メニューにしたアーティストの発表、
家畜生産者のお話など、テーブルを囲みながら、
それぞれ未来の肉食に関する意見が交換されました。

http://bistro-invitro.com/en/welcome-to-bistro-in-vitro/






これまでして肉食にこだわるんだ、
確保していこうという熱意と情熱に
さすがオランダらしいなぁ~と思いました。

しっかり焼かれた豚の頭部も、おそるおそる、手がつけられていきます。
みんなで食べれば、こわくない。会話も弾みます。
残念ながら、私は味わって食べるほどの勇気がありませんでした。




また、空間の壁面には、なんとレンブラント、
外科手術の様子を描いた絵画が飾られています!
こんな演出にも、驚くばかりです。


 
その昔、出島に滞在していたオランダ人が
このように獣の頭部をテーブルに盛っていたという様子が
日本人の目に留まっているようです。
当時、それを真似て有田焼が作られたそうです。
オランダ人にとって、このスタイルは伝統なのでしょうか。



 


伝統~未来の要素が網羅され
未来を見据え、今まさに実験・研究されているプロセスが一般の人々に公開される。体感できる。
世の中、こういう課題があり、こういう方向で研究・課題解決の道が検証されているんだ。
リアルに感じられるとても面白い企画でした。
 
出来上がったものがポンと突然、新製品、新商品です!
と世に現れ、消費や受け身になることの多い私たちの暮らし。

しかしこうした機会は
社会をともにつくっているんだ、一員なんだという実感が少し湧いてきます。

企業や研究フィールドで活躍のみなさま
「社会との対話の場づくり」
これは、とてもユニークなアプローチ方法だと思います。
 
開発、守秘義務、特許など、経済的な競争社会を生き抜くには
それぞれの事情があると思いますが、工夫次第で、
市民・消費者と一緒につくっていく実験の場があってもよいのではと思います。

国土の4分の1が海抜0m以下という土地、水との戦いの歴史をくぐりぬけてきたオランダ、
まったなしのチームワーク、合理性、勤勉から、17世紀には世界の貿易国として君臨。
黄金時代を迎えます。

多様な立場の人々がひとつの課題を共有し、ものごとにあたっていく。
ひとりひとりは、自己主張するが、チームとなれば合理的な方向へ結論をつなぐ。
それもスピーディーに。

Why not 精神
とにかくやってみよう!
やりながら考える実験国家、オランダ
失敗を恐れず、早い決断力と実行力。

『未完の中に力がある。美がある』

途中経過のものをどんどん表へ出していく、オープンにする。
そこからまた学び、見えてくるものがある。
すばらしい考え方です!

いろいろなものを受け入れ繁栄してきたお国柄、
寛容な気風に溢れるオランダだからこそのことなのでしょうか。

  「種をつくり世に放つ」

結果や成果だけが求められがちな昨今
窮屈に感じることも多々あります。
実験やプロセスを大切に、
それが必要なこととして受け入れられる余裕、余白、遊びゴコロ。

つまり、こどものような遊び感覚&学び、『asonabi』
「こどもアート」が社会の中で有益で、大切なこととして尊重されている。

この企画は、そんな一片をみたような気がします。

誰もが楽しめる、最先端!!かと思えば、伝統も。

このバランス感覚、
見習いたいところがいっぱいありますね。


The other dinner
http://waag.org/en/event/other-dinner
waag society https://waag.org/nl


(byこどもアートかとうゆみ)





 

This entry was posted on 2016-10-27 and is filed under . You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. You can leave a response.

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